フードデリバリーを新しく始める飲食店様にこそ知ってほしい食中毒の“正しい”知識

新型コロナウイルスの緊急事態宣言が解除されましたね。とはいえフードビジネス業界を取り巻く状況はいまだ厳しく、外出自粛に伴う業績悪化のダメージはまだまだ尾を引きそうです。

ちなみに連日ニュースでも報道されていますが、この2・3か月の間でデリバリーやテイクアウトを始める飲食店がずいぶん増えました。デリバリー業界が拡大するのはとても喜ばしい事なのですが、僕はこの状況に少し危機感を抱いています。それはデリバリーに関する知識を持って営業されている飲食店様が少ないからです。

フードデリバリー自体は普通の飲食店営業許可さえあれば始めることが出来ますが、作ったものをすぐに提供するレストランと、作ってしばらく経ってから提供するデリバリーでは、レシピの作り方や衛生管理の方法など様々な点が異なります。特に今からの時期は食中毒のリスクも高まります。より美味しくより安全な商品を提供するためにもフードデリバリーならではの“正しい知識”を知ることはとても重要なことです。

そこで、新しくフードデリバリーを始める飲食店様にぜひ知って頂きたい、食中毒に関する正しい知識をお伝えしたいと思います。

①食中毒の原因と種類

食中毒を引き起こす主な原因は「細菌」と「ウイルス」の2つになります。

細菌には「O-157」や「サルモネラ菌」「カンピロバクター」などがよく知られていますが、細菌の多くが、30~40℃で最も活発に繁殖します。また細菌は湿気を好むため、6月~8月の高温多湿の時期は、細菌による食中毒の危険性が最も高まります。

一方、ウイルスは寒く乾燥した環境を好むため11月~3月に多く発生します。

ちなみにウイルス性食中毒の代表であるノロウイルスは、牡蠣などの二枚貝に潜んでいるイメージがありますが、実は知らない間に感染した調理人から食品を介して感染するケースが多く、手洗いや除菌が不十分だと、食材がウイルスに汚染され、それを食べることで感染が引き起こされる可能性があります。

寒いからといって食中毒のリスクが低いという事はありません。間違った食材の扱い方をすると、いつ食中毒が発生するかわかりませんので、十分注意しておきましょう。

②食中毒対策

食中毒対策で重要なポイントは菌やウイルスを付けない事と増やさない事、そして殺す事です。

例えば、生肉などの食材には細菌が付着しています。その生肉を触った手で生野菜などを触ってしまうと、その野菜は完全に菌に汚染されてしまいます。ですので食材を扱う際は特に注意が必要です。

では具体的な対策法を挙げると

・食材ごとの専用まな板を複数枚用意し、頻繁に塩素系洗剤で消毒する。
・手袋を着用する。
・こまめに手洗いをする。
・冷蔵庫のドアの開閉を素早くする。
・素材を出したままにせず、冷蔵庫に片づける。

これだけ見ると当たり前なことばかりですが、デリバリーの場合は調理したものがお客様の口に入るまでに時間がかかり、その間に菌が増殖するリスクが高まるので、こうした対策を徹底することが重要です。

③注意しておきたいこと

基本細菌やウイルスは加熱することで死滅しますので、食材にしっかり火を通せばいいのですが、食中毒菌が食材の中で繁殖し毒素を出した場合は、加熱してもその毒素は消えません。この毒素によって起こる食中毒を『毒素型食中毒』と言います。

こうなってしまうともう最悪です。

毒素型食中毒を起こさないためにも、食材を仕入れた後は出来るだけ早く冷蔵庫で保管し、なるべく早く使い切るようにしましょう。

もう1点、まな板や調理器具を消毒する際、アルコール消毒と塩素系消毒の2つが一般的ですが、ウイルスの中にはアルコール消毒が効かない場合があります。

ウイルスには塩素系消毒が有効なので、覚えておくといいでしょう。

また先ほどもお伝えした細菌によって発生した毒素にはアルコールも塩素も効きませんので、この点にも注意しておいてください。

まとめ

少し長くなりましたが、昨今のコロナショックで世間の衛生についての意識が高まっていますし、これから食中毒が起こりやすい時期となりますので、食中毒に関して詳しくご紹介しました。

食中毒を起こしてしまう事は、食を扱うお店にとって最も致命的なミスと言えます。新しくデリバリーに参入する場合、今まで通りの衛生管理では、かえって食中毒リスクを高めてしまうかもしれません。

正しい知識を身に付け、食中毒には十分注意して頂きたいと思います。

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。